出典: 離婚をめぐる法律とトラブル解決相談129
請求はできますが、認められない場合もあります。
民法上夫婦には婚姻費用の分担義務があります。あなたと夫が戸籍上の夫婦である以上、夫はあなたに生活費や子どもの養育費、収入相応の交際費や医療費などを支払わなければなりません。ただ、別居の原因が、たとえば夫に何の落ち度もないのにあなたが追い出したような形だとすれば請求できない場合もあります。
請求金額については個別に判断されます。別居や婚姻関係の破たんの原因、両者の収入、子どもの養育費用などの他、夫と暮らしている女性がいる場合、その女性の責任が小さい場合にはその人の生活費も考慮されることになります。具体的な金額を算出するためには、様々な算定方式を使って計算します。
当事者間で解決できない場合には家庭裁判所で婚姻費用分担の調停や審判で解決する方法があります。その場合は時間がかかりますので、家庭裁判所に申し立てて、とりあえず結論が出るまで生活費を仮に支払ってもらうための手続きをとるとよいでしょう。ただし、家事事件手続法上の調停前の処分(家事事件手続法266条)には執行力がないこともあり、実務上はあまり利用されていません。一般的な民事保全手続きである仮差押を利用することはできますが、担保の用意など別途費用がかかります。適切な手続きについて弁護士に相談して対処することになるでしょう。