出典: 事件はラブホで起きている
ゆで卵が地獄のドリンクバー代金の1000円札を置いて、ひとりで店を出ていった。
すかさずイナミさんのもとに駆け寄り「お疲れ様でした」と声をかける。彼女は満面の笑みを返してくれた。
「小沢さんが言ってた通り、ちゃんと話が通じる子でした。ちゃんと真摯に謝ってくれて、めちゃくちゃ反省はしてました。ただ最初は嘘つこうとしてたみたいだけど、〝探偵をつけて、もう全部わかってる〟と伝えたら観念したのか、そこからは素直に話してくれました」
示談書の書面を出すと、ゆで卵は給料が安いため一括での支払いが難しい。母親に相談したいから、判断は待てないかと言ったという。ただし、LINEと電話番号をイナミさんに伝え、進捗の報告をさせてもらうと提案してきたという。この提案をイナミさんは「信じますよ」と受け入れたという。
「実は私、すっごい辛かったのに、ずっと泣けないでいたんですけど、今日最後に泣けて良かったです。小沢さんも伊坂さんも、ありがとうございました、とっても心強かったです」
閉店間際の深夜2時のファミレス、気がつけば店内にいるのは僕ら3人だけだった。ゆで卵が置いていった1000円札で地獄のドリンクバーのお会計をするイナミさん。本当にお疲れ様でした。
ちなみに、この日の尾行と示談の様子は、僕のYouTubeチャンネル「探偵小沢の浮気調査チャンネル」にほぼすべて映像として記録されている。イナミさんがゆで卵に声をかけるシーンなどは、鳥肌モノである。これを見たあとだとより楽しめるはずだ、ぜひご覧あれ。
翌日――ゆで卵からイナミさんにLINEが届いただろう。
「やっぱり不倫の事実はないので昨日の合意書にはサインできません。こちらも弁護士を立ててやらせていただきます」
これだから不倫女は嫌いだ――。
