出典: 事件はラブホで起きている
探偵の「口コミ」なんてほぼ存在しないし、意味もない。なぜなら、大手探偵社は金でフォロワーも口コミも買っているからね。だけど、探偵小沢には〝ギャラ無〟の依頼者たちがたくさん存在している。
調査が終わったあと、自らの言葉でブログを書いてくれる人もいる。感謝の気持ちをツイートしてくれる人もいる。なかには僕のYouTubeに出演して、カメラの前で自身の想いを語ってくれた人さえいる。そんな僕の依頼者さんたちは、今日もどこかで生きている……いや、戦っている。僕にとって苦楽を共にした戦友だ。そんな戦友たちとの交流は、調査報告書には記録されることはないけど、僕の心にはしっかりと記録される〝秘密の報告書〟だ。
依頼者さんが、わざわざ自分が不倫された過去を公にしてまで、僕の発信に協力してくれるのはなぜか? それは僕への感謝とともに、自分の辛い経験を〝誰かの救い〟に昇華しようとしてくれているからだ。自分の傷を語るということは、単純に過去を語ることとは違う。まだ癒えない感情と正面から向き合うこと。その姿勢こそが、色っぽいと僕は思う。
この本の巻末に掲載している「依頼者さんの声」は、まさにそれだ。そんな依頼者さんたちの見えざる未来の依頼者に届くかもしれない。
ドラマを、みんなにまずそ分けしたい。
僕の発信をきっかけに、「ありがとう」と言ってくれるかつての依頼者がいる。その言葉を聞くたびに、僕自身が誰かの救いのリレーに加われていることを実感する。だから僕は、語る探偵である前に「つなぐ探偵」でありたいと思っている。依頼者にとって、僕はバトンのような価値である前に「つなぐ探偵」でありたいと思っている。依頼者にとって、僕はバトンのような存在だ。言葉にできなかった気持ちを、僕の発信にそっと重ねてくれる人がいる。その声が、まだ見ぬ未来の依頼者に届くかもしれない。
探偵という仕事は、裏方だ。目立ってはいけないし、感情を表に出さずに観測者であり続けることが必要な場面も多い。それでも僕は、発信を通して声なき声の代弁者になりたいと思った。
一般人からの誤解、低レベルなうぜぇコメント……まぁ、いろいろなノイズはある。カッコつけの目立ちたがり」と思われても仕方ない。事実だしなw
でも、探偵としての僕は、浮気調査を通じてひとりの依頼者を救うことができる。けれど、〝探偵小沢〟としての発信なら、実際に調査の依頼を受けることがなかったとしても、僕のわずかり知らないところで、誰かの救いになれていることもある。もし僕の発信で誰かの背中をひと押しできるのなら、それだけで十分だ。だから僕はこれからも発信し続ける。