どん底だった依頼者が、新たな人生の一歩を踏み出す

どん底だった依頼者が、新たな人生の一歩を踏み出す

出典: 事件はラブホで起きている
僕が依頼者と対面するのは基本的に契約のときで、調査をする前の段階。調査は水物だから絶対なんてないし、過去に立派な実績がある探偵だって、100%証拠が撮れる保証なんてない。 だけど、ドラマを感ちゃった僕は、妙にテンションが上がっちゃって、「もう絶対に証拠撮りますから、安心してください!」なんて無責任なことを言っちゃたりする。これはハッタリじゃなくて、僕の決意表明みたいなもの。それを聞いた依頼者だって、「小沢さんが100%証拠を撮ってくれるんだ」なんて当然思っていないけど、そうした事情を全部理解したうえで「ありがとうございます」と笑顔で言ってくれる。 すべての調査が終わった(当然証拠はバッチリ撮った)あとに、契約のときのことの振り返りながらに依頼者と話すことがある。 「小沢さんが契約で〝もう絶対に証拠撮ります〟って言ってくれたときに、〝あぁ、もう小沢さんに頼んで良かった。仮にこれで証拠が撮れなくてもいいや〟って、実は思ってたんですよ」 こんなこと言われたら、もう僕、泣いちゃうよ。 こうして、人生最大のピンチを乗り越えたあとの依頼者とは「戦友」になれる。それが私立探偵という仕事の魅力だ。 数年ぶりに連絡をくれて会う人もいれば、お子さんぐるみでの交流もあったりする。調査が終わってから、ずいぶん経つ依頼者からは、「そういえば小沢って言って証拠を撮って私のこと助けてくれたんだよね。探偵ってこと忘れかけてたわ(笑)」なんて、冗談交じりに言われる始末だ。 さらには僕に「不倫されて探偵に依頼した」という共通の過去を持つ元依頼者のリアルコミュニティを弁護士先生と一緒に運営している。数カ月に一度みんなで事務所に集まって、慰謝料の運用方法の勉強会を開催し、離婚や別居、調停の情報交換をしたり、なかには自宅の売却状況や離婚後の恋愛相談に乗っている人までいる(笑)。 それぞれの波乱万丈なドラマの主人公である元依頼者たちが、僕の目の前でクロスオーバーする様は、もはや夢の共演といったところ……不倫のアベンジャーズである。 探偵会社の調査員をしていたころには想像もできなかった光景が広がっている。 通常、探偵は調査が終われば、「ハイ、もうあとはがんばってね」と送り出して関係は終了するのが普通。だって、その後も依頼者と関係を続けたところで、売り上げにはつながらない。しかも、そもそも調査が成功していなければ、依頼者はその探偵を軽く憎んで去っていき、関係は必然的に切れる。 浮気の証拠を撮ることができる探偵はたくさんいる。だけど、依頼者のその後の人生に寄り添える機会を与えてもらえる探偵なんて、そんなにいないと思う。 探偵である僕に初めて相談をしに来たときの依頼者って、ほぼ全員が人生におけるどん底の状態で、そこから浮気調査や慰謝料請求、離婚などの経験を経て数年後、どん底の状態だった依頼者が、笑顔で新たな人生の一歩を踏み出している姿を、僕はこの目でたくさん見てきた。これこそ、探偵にとってのいちばんのご褒美だと思う。人は崖っぷちからでも、這い上がれる。そして、這い上がったら一緒に美味しいご飯を食べるんだよ。不倫相手からふんだくった慰謝料で食う飯は、最高に美味い。文字どおり〝メシウマ〟だよ。

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