出典: 離婚をめぐる法律とトラブル解決相談129
親権のない親にも扶養義務があります。
離婚するにあたって親権者を決めると、親権を持っていない親がそのことを理由に子どもの養育費を負担することを拒否するケースがあるようです。しかし、そのことは全く理由になりません。
まず、子どもの養育費の負担を誰がするのかについて考えましょう。離婚という現象は、それまで法律的に夫婦であった男女の関係を、解消させることに他なりません。しかし、その一方で、 その男女が婚姻中に産まれた子どもとの関係まで、解消するわけではありません。確かに、子どもがいる夫婦が離婚をするときには、必ず子どもの親権者を定めなければなりません。しかし、それは子どもの将来のためであって、親権がなくなったからといって、親子の関係が法律的に解消されるわけではないのです。つまり、親として子どもに対して負っている扶養義務は、失われません。ですから、親権を持っていない親であっても、子どもの成長に必要となる養育費を負担する義務を負うことになります。
では、親権者でない相手に、どの程度の負担を求めることができるのでしょうか。これについては、それぞれの親の資産、収入状況などを総合して、個別に判断することになります。無職ではなく、収入がある場合、その分を踏まえた金額の請求が認められることになります。