出典: 離婚をめぐる法律とトラブル解決相談129
事実婚を解消した夫婦が離婚分割できるのは、妻が専業主婦で第3号被保険者になっている期間に限られます。
事実上、夫婦の関係にあるものの、入籍していないケース(事実婚関係)でも離婚分割は認められます。事実婚というのは、① 単に婚姻届の提出がなされていない夫婦あるいは、②内縁関係はあるが、戸籍上法律婚の配偶者の記載があり、婚姻届の提出できない夫婦のことです。
この場合、第3号被保険者届が提出されている期間について、 分割の対象になります。これは、法律婚と違って、事実婚はその開始の時期と終わりの時期を正確に証明することが難しいため、 一方が第3号被保険者であった期間が分割対象期間になっています。したがって、事実婚の期間中に妻も夫も働いており、両者が厚生年金に加入していた期間があったとしても、事実婚の開始と終わりの期間がはっきりしないため、合意分割はできません。
既婚者が別の相手と事実婚状態の場合、事実婚の当事者の一方が、他方を被扶養配偶者として第3号被保険者の届けを出していれば、事実婚期間の分割が優先されます。
ただし、事実婚で厚生年金の分割を利用する場合、第3号被保険者期間が終了していることに加えて、事実婚が解消していることが必要です。