SNS誹謗中傷による精神的損害と慰謝料請求

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本記事は一般的な法律情報を提供するものであり、すべての事例に適用されるわけではありません。個別の状況によって判断は大きく異なりますので、具体的なケースについては必ず弁護士にご相談ください。

SNSが日常生活に深く浸透した現代社会において、誹謗中傷による被害は深刻な社会問題となっています。匿名での投稿が可能なインターネットの特性から、心ない書き込みによって精神的苦痛を受け、日常生活に支障をきたす方も少なくありません。しかし、SNS上の誹謗中傷に対しても、法的な手段で対抗することは可能です。本記事では、SNS誹謗中傷による精神的損害と慰謝料請求について、実務的な観点から詳しく解説します。

SNS誹謗中傷で慰謝料が認められる法的根拠

SNSでの誹謗中傷に対して慰謝料を請求するためには、民法第709条の不法行為が成立する必要があります。不法行為とは、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害し、それによって損害を与える行為のことです。SNS上の誹謗中傷では、主に名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害という3つの権利侵害が問題となります。

名誉毀損が成立するためには、公然と事実を摘示して他人の社会的評価を低下させることが要件となります。ここでいう「公然」とは、不特定多数の人が認識できる状態を指し、多くの人が閲覧できるSNSの投稿は公然性があると評価される可能性が高いです。また、「事実の摘示」とは、具体的な事実を示すことを意味し、真実であるか虚偽であるかは問いません。例えば、「○○は不倫している」「○○は詐欺師だ」といった具体的な事実を示す投稿は、もっとも、公共性・公益目的があり、真実性が認められる場合には、違法性が否定されることもあります。

侮辱は、事実を摘示せずに、単に他人を侮辱する表現によって相手の名誉感情を傷つける行為です。「バカ」「クズ」「死ね」といった抽象的な悪口や罵倒が該当します。名誉毀損と比べると権利侵害の程度が軽いとされることが多いですが、投稿の内容や回数、影響の大きさによっては慰謝料が認められます。なお、2022年7月に侮辱罪の法定刑が引き上げられ、刑事罰も厳格化されました。

プライバシー侵害は、通常は他人に知られたくない個人情報を公開することです。住所や電話番号、職場、学歴、病歴、家族関係など、本人が秘密にしておきたい私生活上の情報を無断で公開された場合、プライバシー侵害として慰謝料請求が認められる可能性があります。特に、顔写真や私的な写真とともに個人情報を公開された場合は、被害が深刻として慰謝料が高額になる傾向があります。

SNS誹謗中傷における慰謝料の相場と増額要素

SNS誹謗中傷による慰謝料の金額は、被害の内容や程度、被害者の属性などによって大きく変動します。一般的な相場として、個人が名誉毀損を理由に慰謝料を請求した場合は10万円から50万円程度、事業主や法人の場合は50万円から100万円程度とされています。侮辱の場合はさらに低く、1万円から10万円程度が相場となる傾向にあります。プライバシー侵害については10万円から50万円程度が目安です。

ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、実際の金額は個別の事情によって大きく変わります。慰謝料が増額される可能性のある要素としては、まず投稿の悪質性が挙げられます。侮辱的な表現が極めて激しい場合、虚偽の事実を断定的に書いている場合、性的な内容を含む場合などは、悪質性が高いと評価され慰謝料が増額される傾向にあります。

投稿の回数や期間も重要な考慮要素です。一度だけの投稿よりも、繰り返し何度も誹謗中傷を投稿している場合や、長期間にわたって嫌がらせが続いている場合には、被害者の精神的苦痛も大きいと評価され、慰謝料が増額される可能性が高まります。複数の投稿それぞれについて個別に慰謝料が認められる場合もあり、その結果として総額が高額になることもあります。

投稿の拡散状況も金額に影響します。SNSの特性上、投稿が多くの人にリツイートやシェアされて拡散した場合、被害の範囲が広がり、社会的評価の低下も著しくなります。投稿者のフォロワー数が多い場合や、インフルエンサーによる投稿の場合も、影響力の大きさから慰謝料が高額になる可能性があります。

被害者の属性も考慮されます。政治家、会社役員、医師、弁護士、公務員など、社会的な信用が重要な職業に就いている方の場合、誹謗中傷による社会的信用の低下が著しいとして、慰謝料が高額になることがあります。また、未成年者が被害を受けた場合も、精神的影響の大きさから増額される傾向にあります。

実際に生じた被害の内容も重要です。誹謗中傷のショックでうつ病やPTSDを発症し、通院や治療が必要になった場合、精神的苦痛が極めて大きいと評価され、慰謝料が増額される可能性が高いです。医師の診断書や治療記録は重要な証拠となります。また、誹謗中傷が原因で仕事を失った場合や、学校に行けなくなった場合なども、被害の深刻さを示す事情として考慮されます。

複数の権利侵害が重なっている場合も増額要素となります。例えば、名誉毀損とプライバシー侵害の両方が認められる場合や、裸の写真とともに侮辱的な文章が投稿された場合など、複数の権利を侵害している投稿については、それぞれの侵害について個別に慰謝料が認められたり、総合的に高額の慰謝料が認められたりする可能性があります。

発信者情報開示請求の手続きと2025年の法改正

SNS上の誹謗中傷に対して慰謝料を請求するためには、まず匿名の投稿者を特定する必要があります。この手続きを「発信者情報開示請求」といいます。2022年10月に改正プロバイダ責任制限法が施行され、従来は2段階の裁判手続きが必要だった発信者の特定が、1回の手続きで完結できるようになりました。さらに、2025年4月1日には法律名が「情報流通プラットフォーム対処法」に変更され、大規模プラットフォーム事業者に対する規制が強化されています。

発信者情報開示請求は、裁判所に「発信者情報開示命令」の申立てを行うことで進められます。この手続きでは、まずSNS運営会社やサイト管理者に対して、投稿時のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報開示を求めます。同時に、そのIPアドレスを使用していたインターネット接続業者に対しても、契約者の氏名や住所などの個人情報の開示を求めることができます。この一体的な手続きにより、従来よりも迅速に発信者を特定できるようになりました。

ただし、発信者情報開示請求には時間との戦いという側面があります。多くのSNS運営会社やプロバイダは、投稿時の通信記録を一定期間しか保存していません。一般的には3か月から6か月程度で削除されることが多く、時間が経過すると発信者の特定が技術的に不可能になってしまいます。そのため、誹謗中傷を発見したら、できるだけ早く弁護士に相談し、発信者情報開示請求の手続きを始めることが重要です。

2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、Google、Meta、X(旧Twitter)、LINE、TikTokなどの大規模プラットフォーム事業者に対して、削除対応の迅速化や運用状況の透明化が義務付けられました。これにより、被害者からの削除依頼や情報開示請求に対して、これらの事業者がより速やかに対応することが期待されています。違反した事業者には罰則も設けられており、制度面では前進といえますが、実際の運用ではなお個別判断や時間を要するケースも多く、過度な期待は禁物です。

慰謝料請求の具体的な流れと証拠収集の重要性

発信者を特定した後は、相手に対して慰謝料を請求していくことになります。まずは相手に対して直接連絡を取り、示談交渉を試みるのが一般的です。弁護士名義の内容証明郵便を送付し、投稿の削除、謝罪、慰謝料の支払いなどを求めます。相手が交渉に応じ、双方が合意に至れば示談が成立し、比較的短期間かつ低コストで解決できます。

相手が交渉に応じない場合や、提示する金額に大きな開きがある場合には、裁判所での手続きに移行します。まず裁判所に民事調停を申し立て、調停委員を介して話し合いを行う方法があります。調停でも合意に至らない場合は、最終的に訴訟を提起し、裁判で白黒をつけることになります。

これらの手続きにおいて最も重要なのが、証拠の収集と保全です。誹謗中傷の投稿は、投稿者が削除してしまう可能性があるため、発見したらすぐにスクリーンショットを撮影したり、画面を印刷したりして証拠を保存しておく必要があります。スクリーンショットには、投稿日時、投稿者のアカウント名、投稿内容の全体が写っていることが重要です。URLも記録しておくことで、投稿の特定がしやすくなります。

また、投稿によって受けた精神的苦痛を証明するための証拠も重要です。医師の診断書、カウンセリングの記録、投稿を見て動揺した様子を記録した日記やメモ、周囲の人の証言などが有効です。仕事や学業に影響が出た場合は、休職証明書や成績の低下を示す資料なども証拠となります。

複数のプラットフォームで誹謗中傷が行われている場合や、投稿が拡散されている場合には、それぞれについて証拠を収集する必要があります。どの投稿が最も被害が大きいか、どの投稿から優先的に対処すべきかを判断するためにも、弁護士に早期に相談することが有効です。

費用対効果と実務上の課題

SNS誹謗中傷の慰謝料請求には、いくつかの実務上の課題があります。まず、費用の問題です。発信者情報開示請求には、裁判所への申立費用、弁護士費用などがかかります。弁護士費用は事務所によって異なりますが、発信者の特定だけで30万円から50万円程度、その後の慰謝料請求で追加の費用がかかることが一般的です。

一方、認められる慰謝料の金額は、前述の通り10万円から50万円程度であることが多く、場合によっては弁護士費用の方が高額になってしまう「費用倒れ」のリスクがあります。ただし、2023年以降は裁判で認められる慰謝料に弁護士費用の一部が含まれる判決も出ており、以前よりは費用回収がしやすくなっている傾向にあります。

また、相手が支払い能力を持っているかという問題もあります。発信者を特定し、裁判で勝訴したとしても、相手に資産がなければ実際に慰謝料を回収することは困難です。特に、投稿者が未成年者や学生である場合、支払い能力が限定的である可能性があります。この場合、相手の親権者に支払いを求めることも検討する必要があります。

したがって、SNS誹謗中傷の被害に遭った場合、単に金銭の回収を目的とするだけでなく、投稿を削除させること、二度と同じ行為を繰り返させないこと、場合によっては刑事告訴によって社会的な責任を取らせることなど、総合的な解決策を考えることが重要です。示談の際には、慰謝料の支払いだけでなく、謝罪文の提出、今後同様の行為を行わない旨の誓約、投稿の削除なども含めた包括的な合意を目指すことが望ましいです。

専門家への早期相談の重要性

SNS上の誹謗中傷は、放置すると被害が拡大する可能性があります。投稿が拡散されればされるほど、削除は困難になり、精神的ダメージも大きくなります。また、前述の通り、発信者情報の保存期間には限りがあり、時間が経過すると投稿者の特定が不可能になってしまいます。

そのため、誹謗中傷を発見したら、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。弁護士であれば、投稿内容が法的に問題となるかどうかの判断、証拠収集のアドバイス、発信者情報開示請求の手続き、相手との交渉、裁判手続きなど、すべての段階でサポートを受けることができます。

また、弁護士が介入することで、相手が真剣に対応する可能性も高まります。個人名での連絡には応じなくても、弁護士名義の内容証明郵便には対応する人も多いです。さらに、弁護士に依頼することで、被害者自身が相手と直接やり取りする精神的負担を軽減することもできます。

近年は、SNS誹謗中傷に特化した法律事務所や、初回相談を無料で行っている事務所も増えています。一人で悩まず、専門家のサポートを受けながら、自分にとって最善の解決方法を見つけていくことが大切です。

まとめ

SNS上の誹謗中傷に対しては、法的な手段で対抗することが可能です。名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害などの権利侵害が認められれば、慰謝料を請求できます。慰謝料の金額は個別の事情によって変動しますが、投稿の悪質性、回数、拡散状況、被害の程度などが考慮されます。

発信者を特定するための発信者情報開示請求の手続きは、2022年の法改正により簡略化され、さらに2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、大規模プラットフォーム事業者の対応義務が強化されています。ただし、通信記録の保存期間には限りがあるため、被害に遭ったら早期に行動することが重要です。

費用対効果の問題はありますが、金銭の回収だけでなく、投稿の削除、謝罪の取得、再発防止など、総合的な解決を目指すことで、被害者の心の回復につながります。SNS誹謗中傷の被害に遭った方は、一人で悩まず、できるだけ早く弁護士に相談し、適切な法的救済を受けることをお勧めします。

 

大西 信幸

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