配偶者の不倫が発覚したとき、「必ず離婚すべきなのか」と悩む方は少なくありません。子どもや生活、感情の整理などを理由に、あえて離婚しない選択をするケースも多く見られます。もちろん、離婚しないからといって権利を失うわけではありませんが、その後の対応次第で法的な評価が変わる場面もあります。この記事では、離婚しない選択をしたサレ夫・サレ妻の法的立場や、慰謝料請求との関係、判断の際に押さえておきたいポイントを紹介します。
配偶者の不倫が発覚したとき、「必ず離婚すべきなのか」と悩む方は少なくありません。子どもや生活、感情の整理などを理由に、あえて離婚しない選択をするケースも多く見られます。もちろん、離婚しないからといって権利を失うわけではありませんが、その後の対応次第で法的な評価が変わる場面もあります。この記事では、離婚しない選択をしたサレ夫・サレ妻の法的立場や、慰謝料請求との関係、判断の際に押さえておきたいポイントを紹介します。
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配偶者の不倫が発覚したとき、多くの人は「離婚するか、それとも離婚しないか」という二択を迫られます。
しかし実務の現場では、必ずしも離婚を選ばず、婚姻関係を継続する判断をするサレ夫・サレ妻も少なくありません。
その選択は決して弱さや妥協ではなく、子ども、生活基盤、感情整理などを踏まえた現実的判断であることが多いです。
もっとも、「離婚しない」という選択をした場合、法的にどのような立場に置かれるのかについては、誤解も多く見られます。
本コラムでは、離婚しない選択をしたサレ夫・サレ妻が持つ法的権利と制約、注意点について、実務的観点から整理します。

まず多く寄せられる疑問が、「離婚しなければ慰謝料は請求できないのではないか」という点です。
結論から言えば、離婚をしなくても、不貞行為が認められれば慰謝料請求は可能です。
日本の民法上、不貞行為は配偶者の権利を侵害する不法行為とされます。そのため、婚姻関係を継続するか否かにかかわらず、精神的苦痛が認められれば慰謝料請求の対象となります。
ただし、離婚する場合と比べると、慰謝料額は相対的に低く算定される傾向があります。これは「婚姻関係が破綻に至っていない」という事情が考慮されるためです。
離婚しない場合であっても、慰謝料請求の相手は次の二者が考えられます。
一つは、不貞行為を行った配偶者本人です。もう一つは、不倫相手(第三者)です。
もっとも、実務では配偶者本人への請求を見送るケースもあります。婚姻関係を継続する以上、家計が一体であるため、実質的な意味が薄いと判断されることがあるからです。
一方で、不倫相手に対する慰謝料請求は、離婚しない場合でも比較的多く行われています。婚姻継続を前提とするからこそ、第三者の介入に対して責任を明確にする意義があると考えられます。
離婚しないという選択は、慰謝料請求の可否には影響しませんが、評価のされ方には一定の影響を与えます。
裁判実務では、「被害の程度」を判断する際に、以下の点が考慮されます。
不貞行為の期間や頻度
婚姻関係への影響の大きさ
別居や離婚に至ったかどうか
離婚に至っていない場合、「精神的苦痛は認められるが、婚姻関係は維持されている」
と評価され、慰謝料額が調整されることがあります。
ただし、これは「被害が軽い」という意味ではありません。あくまで損害算定上の一要素にすぎない点には注意が必要です。
離婚しない選択をした場合、裁判よりも示談による解決を選ぶケースが多く見られます。しかし、示談は一度成立すると原則として撤回が困難です。
示談書には、最低限以下の事項を盛り込む必要があります。
慰謝料の金額と支払方法
接触禁止条項(不倫相手との連絡禁止)
守秘義務条項(SNS等での言及禁止)
違反時の違約金
将来請求を行わない旨の清算条項
特に離婚しない場合、再発防止条項は極めて重要です。これが不十分であると、再度同様の問題が生じた際に、対応が困難になります。
離婚しない選択をしたサレ夫・サレ妻が注意すべき点として、「不倫を事実上許したと評価されるリスク」があります。
たとえば、
長期間何も請求せず放置していた
明確な抗議や条件提示をしていなかった
通常どおりの夫婦生活に戻っていた
このような事情が重なると、後になって慰謝料請求を行った際に、「すでに宥恕(ゆうじょ)していたのではないか」と主張される可能性があります。
そのため、離婚しない場合であっても、不貞行為に対してどのような態度を取ったのかを明確に残すことが重要です。
一度不倫が発覚し、離婚しない選択をした後に再発した場合、法的評価は初回よりも厳しくなる傾向があります。
再発は、
反省がなかった
誓約に違反した
精神的苦痛を重ねて与えた
と評価されやすく、慰謝料額が増額される要因となります。
また、初回の示談書や誓約書に違約金条項がある場合、再発時には比較的スムーズに責任追及が可能となります。
離婚しない選択は「白紙委任」ではなく、条件付きで関係を継続する判断であることを、法的にも明確にしておく必要があります。

子どもがいる家庭では、離婚しない選択がなされることが特に多くなります。もっとも、子どもがいること自体は慰謝料算定の直接要素ではありません。
ただし、
家庭環境への影響
育児負担の偏り
精神的安定への影響
といった事情は、総合判断の中で考慮される場合があります。また、再発防止の観点からも、家庭内ルールや役割分担の見直しが重要になります。
離婚しない選択をした場合こそ、専門家への相談が重要です。「離婚しない=法的手続きは不要」と考えてしまうと、後に不利な立場に立たされることがあります。
弁護士に相談することで、
慰謝料請求の可否
示談書の文言
再発時の対応方針
を整理することができます。
また、必要に応じてカウンセラー等と連携することで、法的側面と心理的側面の双方から支援を受けることが可能です。
離婚しない選択をしたサレ夫・サレ妻は、決して権利を失うわけではありません。
重要なのは、「感情的に耐えること」と「法的に整理すること」を混同しないことです。
離婚しないからこそ、何を許し、何を許さないのかを明確にし、法的な形で線引きを行う必要があります。
不倫問題は人生に大きな影響を与える出来事です。一人で抱え込まず、冷静に情報を整理し、自分にとって最も納得できる選択をするための支援を受けていただきたいと思います。